・昼間に見る夢

作:卜部山猫


薄暗い中から、不意にカーテンが開きその中から礼服を着た初老の男性が出てくる

初老の男性「始めまして、皆様。私卜部と申しますこの物語はまだ錬金術や魔術が信仰として信じられていた時代の物語です。それでは、物語の終わりまでの短い間ではありますが、よろしくお願いいたします。

軽くお辞儀をするそしてすっと前を見ると

さていきなりではありますが、お客様方心の準備はよろしいでしょうか?それでは舞台の準備も整ったようですので私はこれにて一時退散とさせていただきます。

すみませんが最後に一つ、どんなことがあっても決して嘆くことのないようお願いいたします。」

そして、案内人は舞台横に去っていきその奥のスクリーンに幸せそうな恋人達が映る

二人は腕を組んで歩いている。

場所:池のほとり、昼

女性「いつまでも、貴方とこうしていられたら幸せでしょうね。」

そういうと女性は男性の顔を見る

男性は微笑を返すと

男性「もちろん、そうするために君をここに呼んだのだから。

男性はすっと、片ひざをつき懐から小さな箱を出すと中を見えるように明けて彼女に向けた

男性「前々から渡そうと思っていたのだが、いざとなると勇気がいるものだね。

はにかみながらいうと、ふっとまじめな顔に戻り

男性「私と結婚してくれるね?」

女性は驚いた顔から、ふと嬉しそうにして泣き出しながらコクッと顔を縦に振った。

 

舞台横から

卜部「さて、幸せそうな恋人達の一こまから始まりましたがいきなり時間は三年後へと進みます。」

 

今度は、家族になったさっきの恋人達が映る

場所:屋敷の中、時間:ひる、男性は新聞を読んでいるその横で子供が遊んでいる

男性「そういえば、明日だったな伯爵ご一家とキジ撃ちに出かけるのは。」

男性は、窓際で編み物をしている女性に話しかける

女性「ええそうですよ、今メイド達が用意していますよ。」

男性「ふむ、ならばいいんだ。」

男性は、再び新聞へと目を移す

 

時間:翌日、昼 場所、広い湿原

男性二人は猟銃を持ち、銃を撃っている

伯爵「ほら、あそこだ!」

男性「はい!」

その瞬間、男性が構えていた銃からドン!という音が響く

伯爵「おお、やったなあそこに落ちたぞ!!そら、行くぞ!!」

そういうと、二人は打ち落とした獲物を取りに深い草が生えた湿原の奥へと進んでいく。

男性「おかしいですねぇ、ここら辺だと思ったのですが・・。」

男性はあたりをきょろきょろと見ている

伯爵「確かにおかしいな、ん!?」

そういうと伯爵は走り出す、そのあとから男性も走る

伯爵「おお、あったぞ!!」

男性「やりましたね、これで胸を張って帰れますね。」

二人は笑いあう

伯爵は獲物を手に取り、元の場所へと帰ろうとするが二人は夢中で走っていたので来た道筋がわからない

男性「えっと伯爵、道・・・わかります?」

伯爵「ん、まぁ・・・適当に行っていれば着くだろう。」

そういうと、二人は歩き出す、しばらく歩く二人

ここで一時停止舞台脇の卜部が映る

卜部「さて、お客様方ここからはまさに悲劇としか言いようの無い不幸になりますが、ここで止めるも進むも客様方のお好きなようになさってください。さて、いかが致しましょうか・・・・・・・・・・。わかりました、それでは物語を続けさせていただきます。

再び画面はスクリーンへと映る

場所:相変わらず湿原を歩いている

歩き続けているため、すっかり息の上がってしまった二人

男性「はぁ、はぁしかし視界が悪いですね。」

視線を伯爵へと向ける

伯爵「はぁ、そうだ。」

そこまで言い続けると、左側のほうからガサッっという音

銃を構える伯爵、銃口を音のほうへと向けるそしてドン!という銃声

伯爵「どうだ、やったか!」

男性「さすが伯爵ですね。」

うきうきとした気分で走る二人

走れば走るほど、だんだんと見覚えのある風景へと変わっていく

いきなり開けた場所へとでる

驚くふたり、その周りでは慌てふためく使用人他と血を流しながら横たわっている男性の子供と妻

少し前から呆然と立ち尽くす二人、男性ははっとわれにかえり二人に駆け寄る

男性「おい・・・おい!何だ!何でこんなことになってるんだ!」

二人を腕に抱き、涙を流しながら叫ぶ

その後ろから

伯爵「お、おい・・・。」

そのこえに気づき、二人を放して伯爵に駆け寄り首をつかむ

男性「全部、全部お前のせいだ。お前がいなければこんなことに・・。

男性は鳴きながらひざをつく

頼む、返してくれよ俺には二人しかいないんだ・・。」

伯爵は目を伏せ、何かを言おうとするが声に出せない横を向き従者に命令をする

伯爵「・・・・・・、おい!すぐに二人を医者のところへと運ぶんだ!」

 

場所は変わり病院の待合室へと変わる

頭を抱えている男性、その隣に座っている伯爵

伯爵「すまない、そんなことを言っても許されることじゃないと解っているのだが、本当にすまない。」

目線を男性へと向けるが、何も答えない男性

男性「・・・・・・。」

キィ、とドアが開き中から医者が出てくる、医者につめかかるように迫る男性

男性「二人は、二人は無事なんですか!」

申し訳ないように答える医者

医者「最善は尽くしたのですが、もうここに運び込まれたときには・・。」

ひざをつき、がっくりとうなだれる男性

男性に寄る、伯爵

伯爵「すまない、本当にすまない。私にできることがあれば・・・。」

何かをつぶやいている男性

男性「なんだ、なにがいけないんだ。私は間違っていない、これは間違いだ、間違いだ、間違いだ・・・。」

そうつぶやきながら、病院を出る男性

男性追いかける伯爵、男性の肩をつかみ

伯爵「と、とりあえず今日のところは私のうちに来たまえ。」

そういって伯爵は馬車に乗せて、家へと向かった

 

絵は舞台袖の卜部に移る

卜部「さて、お客様がた物語は男性の妻と子供が死んだところで一時停止となりました。男性はいまだに、二人の死を受け止められずにいるようです。それでは、男性はこれからどうなっていくのでしょうか?さて、邪魔な私はこれにて退散させていただきます。」

再び画面はスクリーンへと映る

 

時間:三年後 場所:男性の家 男性:髪はぼさぼさ、ひげは伸び放題

男性は広い部屋の中で、壁に敷き詰められている黒板に向かい何かを書いている。あたり一面には、何かを書かれた紙や変な部品が散らばっている。男性は、片手に本を持っている

男性「いや、ここは違うな・・・。ふむぅ・・・。」

部屋のドアが開かれて、扉から伯爵が入ってくる。

伯爵「・・・、相変わらずこの部屋に引きこもっているのかい。」

伯爵は、部屋のありようを見ながら男性に話しかける。

男性はさもつまらなさそうに、伯爵を一瞥すると視線を黒板に戻し話す。

男性「これはこれは伯爵、どの面を下げてここに来たんですか?ここは、私の家族以外はいるべき家じゃないですよ。」

伯爵はショックを受けた顔をしながら

伯爵「そ、それは確かに私が悪かったしそれに対しても、十分に謝罪したじゃないか!!それに、あれからもう三年もたっているのだぞ君はここで一体何をやっているんだ!?」

男性「もちろん、私の家族をもう一度よみがえらせるんですよ。あいつらは、ちょっとどこかにいっているだけなんだ!!必ず、必ず呼び戻してみせる!!」

伯爵「それにしても、ここからどこにも出ないというのはよくない。どうだい、今日私の家に来て夕食でもどうかね。」

そういい、近くの机においてある部品に触ろうとする

男性「それに触れるな!!!!」

伯爵は驚いた顔をして、手を引っ込める。

男性も少し驚いた顔をして

男性「わかった、わかったからその辺のものに触れないでくれ。」

伯爵「二ヶ月前にもそういって、結局来なかったじゃないか。これでは、君も死んでしまうよ。今日は、なんと言っても連れて行くからな!」

男性は迷惑な顔をして

男性「わかった、わかった。だが、今日はだめだ。来月、来月まで待ってくれ。来月には必ずそっちにいくから。」

伯爵はあきらめた様子で

伯爵「ふぅー。わかった、来月だからな。来月に又来る。」

そういい残すと、伯爵は後ろのドアから出て行った。

男性は少し疲れた様子で

男性「もう少し、もう少しなんだ・・・。そうしたら、もう一度私たちの楽しい時間が帰ってくるんだ・・・。」

 

来月

男性の目の前には、見慣れない形の懐中時計が二台並んでいる。

男性「とうとう、できたぞ。これさえあれば、昔のあのころに戻れるんだ。だが、死んだ人間は生き返らないならば未来に行ってもう一度二人を作ればいいんだ!」

そういうと、男性は二台のうち一台の時計を合わせもう一台をいじり始めると彼の周りに光の渦が集まり始めてきた。そう思った刹那、男性は部屋の中から消えてしまった。

 

一面暗い、空間の中に浮かんでいる男性

男性「うわぁぁぁぁぁぁぁ、何だか、体がどんどん浮かんでいく!何だあの光は、っく!」

そういうと男性は、その光に飲み込まれてしまいしばらく光に包まれて気がついてあたりを見渡すと見知らぬ、まるでバベルの塔のように天高くそびえる建物の間に立っていた。

男性「な、何なんだここは。と、とりあえず調べないと・・・。」

男性にとっては、すべてが見新しく見るものすべてが新鮮であった。

調べ物をしようと、図書館を探している男性が途中目に留まった壁に映っているものに目を引かれた

壁「さぁ、時代がとうとう追いついてきました!

これで私たちはもう、死を恐れる必要はなくなりました。

そこのあなた、何か病を患っていませんか?

そんなときは、この新技術クローン体を使って新しい体にすればすべてオッケイ!どんなときにも・・・・・。」

男性は気づいたら、その壁を夢中になって見ていただがその中のある単語に興味を引かれた

男性「何だって?クローン?」

そういうと壁の中の人間が、男性に向かって話しかけてきた

壁「お客様、何かご質問が?」

男性は驚いて、後ろにのけぞり

男性「な、なんだ人がいたのか。なら、さっき言っていたクローンとは何だ?」

壁「クローンがわからないとは、お客様化石時代の人ですか?」

壁の中の映像は、オーバーリアクションで笑っているようだ

壁「さて、ご質問の技術ですがそれは、私たち人間が神をも超えたしるしでもあるのです。私たち人間は、少しのDNAがあればそっくり同じ人間を作ることに成功したのです。・・・・・。」

そういって、男性はずっと壁としゃべりあいすべてのことを吸収しようとしている様子だった。

 

時間:翌日の朝 

男性は地面に座り、ずっと壁に話しかけている。

壁「しかし、ここまで何も知らないという方も初めてですよ。」

男性は含みのある笑顔で

男性「まぁ、それはいいじゃないか。それでは、ありがとう。」

そういって、男性は右ポケットに入れていた元の時代の時間の懐中時計を出すと時計のでっぱりの部分を押した。

そうすると、最初のころと同じように男性の周りを光が覆い始め男性が消えてしまった。

男性は最初のころと同じくらい空間に入って、今度は彼にどこまででも落ちていくような感覚が襲い始めた。

そうして、どのくらいの時間がたっただろうか?

ある程度時間がたって、下のほうから突然自分のへやが現れてその中へとたたき落とされてしまった。

床へとたたきつけられて体を打ちつけ気を失う男性

男性「っつ・・・・。」

 

時間:夕方

体をたたきつけ気を失っていた男性

男性「ん・・、うん〜。はっ!こうしちゃおれん!」

急に体を起こし黒板に向かう男性、そのまま黒板に向かうと彼が覚えている限りのことを書き出す。

腕を組み黒板に向かいうなる男性

男性「うむ〜、骨に私が覚えている限りすべての記憶が妻や子供を生き返らせることができるのか。」

どれくらいの時間がたっただろうか、そうこうしている間に伯爵がやってきた。

窓の外に伯爵の馬車が止まる、少ししてから伯爵が入ってくる

伯爵「さて、今日こそは私の誘いに乗ってもらうよ。」

男性「これはこれは伯爵、すみませんが少々お待ちいただけますか?」

事が素直な方向に進んだため面くらう伯爵

伯爵「・・・、んおお解ったよ。」

少々の間があってから以前のように小奇麗な格好をして現れる男性

男性「すみません、お待たせしましたね。それでは、いきましょうか。」

二人で馬車に乗り去っていく

 

場所:伯爵邸 伯爵の家族達と楽しそうに食事をしている

ワインを片手に持ちながら

伯爵「でも、一時期君が本当にどうなることかと思ったよ。」

男性「ええ、ご迷惑をお掛けしました。もう、研究のほうも完成しましたので後は少しこまごましたことを終わらせるだけなんですよ。

少し下を見て、薄ら笑いを浮かべる

ええ、もうすぐ・・・・もうすぐなんですよ。」

伯爵「お、おい大丈夫か?」

はっとわれに返る男性

男性「え、ええ大丈夫です。すみませんが今日はこれにて失礼させていただきます。」

そういって去っていく男性

 

場所;墓場 時間:夜

男性はスコップで墓を掘っている

ザッ、ザッ

男性「骨だ、骨さえあれば私の家族がよみがえるんだ・・・。」

棺おけを開ける男性

男性「これだ!これさえあれば・・。」

掘り出した骨をポケットに入れ、再び時計を出し操作する

そして、再び未来に行く男性

 

場所:未来 クローンセンター

職員「やぁ、やぁはじめまして。あなたが、実験に参加していただけるということですか?」

男性「ええ、そうです。本当に、本当に妻や子供達が帰ってくるんですよね!?」

男性は、飲み物の置いてあるテーブルをバン!とたたくと立ち上がりながら言った。

職員「お、お客様落ち着いてください。ええ、もちろんですよ。

しかし、まだ実験段階の域を出ていないのが現状です。そのために、多くのサンプルが必要になるのです。」

再びいすに腰掛け緊張の様子で話を聞く男性

職員「それでは、DNAサンプルのほうはお持ちいただけましたか?」

男性がポケットから、骨を出す

男性「骨でもいいとのことでしたから・・。」

職員が骨を受け取り

職員「それでは、お客様は完成まで情報漏えい防止のため完成まであちらのハウスにてお待ちいただきます。おい!君こちらの方を案内してくれ。」

職員が近くにいた女性職員を呼び、男性をハウスまで案内させる

女性職員「それでは、私についてきてください。」

 

待ち続けてどれほど時間がかかっただろうか?

実際にはそれほど経ってはいないのかもしれないのだろうが、ついに彼女らが帰ってくると思うと私はいてもたってもいられなかったのだ。

男性部屋の中をぐるぐると落ち着かなさそうに、歩いている男性。

男性「ふむぅ、まだか・・・。話によれば、今日という話なのだが。」

そこに、ふと窓の外を見ると昔に見た懐かしい顔ぶれが並んで歩いてくるのが見えた。

男性は目から涙があふれひざから崩れる

男性「うあ、あああああああああああああああ。」

それと同時に彼の部屋に響くノックの音

職員「よろしいですか?早速素体が完成したのでお持ちいたしました。それでは、これから記憶のダウンロードへと移行します。」

職員の後ろから、異形な形の機械が現れる

職員が一方を男性の頭につける

職員「それでは始めますので、あなたが覚えている限りのことを考えてください。」

機械のスイッチを押す男性、それと同時に声にならない悲鳴をあげる男性

男性「―――――――――――――――――――!!!!」

男性の頭の中には、スライドショーのように記憶が流れていく。

職員「よし、終わりましたので今日はゆっくりとお休み下さい。」

機械のスイッチが再び押されると、ドサッと崩れる男性。

 

時間:朝

ベットに横たわる男性をゆすり起こす女性

女性「・・なた。あ・・た。」

それに気づき、目を薄く開ける男性

女性「あなた、おきてください。もう朝ですよ。」

ガバッと身を起こし、信じられない目で女性を見る男性

女性「っきゃ!んもう、何するんですか?」

扉が開き、職員が現れる。職員につめかかる男性

男性「完成したのか!?」

笑顔を浮かべる職員

職員「ええ、すべてうまくいきましたよ。今日でもうこのままつれて変えられて結構ですので。まぁ、まだこちらにいられても結構なんで。

背を向けかえろうとする職員

あ!何かありましたらこちらまで電話下さい。すぐに職員が伺いますので。」

そういい残すと、職員は男性のハウスから出て行く

女性「あなた、仕事のほうは終わられたのですよね。っきゃ!!」

女性がすべてを言い終わるまえに、男性は女性に抱きついた

男性「もう、どこにも行かないでくれ・・・・。」

そう、泣きながら訴える男性。

女性「んもう、本当にどうしたんですか?あなた、おかしいですよ?いい加減に離れてくださいな。」

その言葉に妙な違和感が男性を襲う

男性「ああ、わるかったよ。

男性はポケットから時計を出すと時刻を確認し

そうだな、時間も時間だしそろそろ家に帰るとするか。」

女性「そうですね、そうしましょ。ほら!坊や遊んでいないでこっちに来なさい。そろそろ、帰りますよ。」

そういわれると、女性の足元に寄ってくる子供

男性「すまないが、帰る前に少々の間目を瞑っていてくれないか?」

女性は怪訝そうな顔をして

女性「いったいなぜですか?本当に今日のあなたは少しおかしいですよ?」

男性「頼む、少しの間だけでいいんだ。」

女性はあきらめた顔をして目を瞑った

男性はポケットの中から、懐中時計を取り出し操作した。

そうすると、二人を抱きしめ抱えるようにした。それを合図に、彼らは深い闇に落ちていく感覚が襲い始め女性と子供は悲鳴を上げ始めた。

それから、5分ほど立ったぐらいか三人は床にたたきつけられると男性はその衝撃からか二人を放してしまった。

男性はあっと思った瞬間にはもう遅く、二人はよろめきながら後ろのほうへとよろけていった。そして、後ろの棚にドン!と強く当たるとうらめしそうに男性をにらみつけた。

女性「もう!本当になんな」

グシャァ!!!

さきほどの棚に当たった衝撃のせいか、元から不安定な棚においていた成果どうかは定かではないが彼の妻と子供は大きい実験道具の下敷きになってしまった。

男性はそのことが信じられないのか、ほうけた顔でその惨劇のあとを見つめている。

 

時刻:朝

彼はようやく動き出すと、すっかり乾いてしまった血のあとを手で触るとボロボロと泣き出してしまった。

男性「うわぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!

なぜだ!なぜなんだ!!これは私のせいなのか!!!それとも世界が悪いのか!!ああああああああああああああああああ!」

そう彼が言うと、彼は叫びながら家を飛び出していってしまった。

その後、町にはさまざまなうわさが流れた。死んでしまった彼の妻と子供の死体が二つに増えたなど。また、彼は邪教信者で黒魔術に身を染めた結果がああなったなど。さまざまなうわさが流れてしまったが、まだ彼はこの町にいる・・・。

だが、その姿にはもう人間性を感じられずその見た目はそこらへんにいる動物となんら変わりない。

ボロボロに汚れて、そしてあちこち敗れた服を着ている男性

男性はごみ捨て場で他の動物と同じく、生ごみをあさっている